お金の相談は誰にすればいい?FP(ファイナンシャル・プランナー)って信用できるの?保険はどんな時に必要?

本記事では、FP(ファイナンシャル・プランナー)はどんな人なのか、保険は何に入るべきなのか、お金の相談は誰にすれば良いのかを簡単にまとめます。

更新日: 2024年2月24日
公開日: 2024年2月22日

そもそもFP(ファイナンシャル・プランナー)って何?

日本FP協会の説明をお借りすると以下です。

人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です。

参考: 日本FP協会 ファイナンシャル・プランナー(FP)とは


FPには国家資格であるFP技能士(3級~1級)と、日本FP協会の資格であるAFP, CFPがあります。前者は国家資格なので安心感がありますが、更新は不要です。一方後者は2年ごとに資格更新が必要なので、知識をフレッシュに保つ必要があります。

参考: 日本FP協会 FPの資格と検定の種類


なお、ファイナンシャル・プランナーには弁護士や税理士のような独占業務はありません。 ファイナンシャル・プランニング業務は、無資格でも行うことが可能です。つまり、FP資格はお金に関する相談をする相手が信用に値するかどうかを判断するための材料に過ぎないということです。


しかし、FPの試験に合格するためには以下の幅広い分野について勉強する必要があり、簡単ではありません。

  1. ライフプランニングと資金計画
  2. リスク管理
  3. 金融資産運用
  4. タックスプランニング
  5. 不動産
  6. 相続・事業承継


特にFP2級以上やAFP以上になると、下位資格または実務経験が必要になってくることもあり、段々と難しくなってきます。私もまずはFP3級を取得に向けて勉強中で、2024年4月に受験予定です。


「FP = 保険を売りつけてくる人」のイメージ

最近よくCM等で「FPに無料で相談しませんか」という宣伝を目にします。私も一度、結婚式の計画の際に式場の方から「FPに無料で相談しませんか」と提案を受け、(まあ無料ならいいか...) と会って話を聞いたことがあります。以下のような印象でした。

  1. いかに自分(FPの方)が賢く資産管理・運用をしているかを自慢
  2. なぜあなたに保険が必要なのかを説明
  3. 生命保険を買いませんか (その場)
  4. 生命保険を買いませんか (後日電話)
  5. 生命保険を買いませんか (後日電話)

「ただより高いものはない」とは言い得て妙で、無料で相談した結果返報性の法則が働いて保険を買わなきゃいけない気持ちになってきます。いざ買ってしまうと、かえって高価なものを買ってしまうことになるわけです。

ただ、私はこのFPさんが悪いことをしていると言いたいわけではありません。FPさんにも生活がありますし、タダ働きするわけにはいきません。保険を売ることで保険会社から受け取る報酬がこのFPさんの給料になるので、そう仕向けざるを得ないのです。FPに無料で相談するとは、そういうことなのです。


そもそも保険って必要なの?

もちろん人によりますし、種類にもよります。保険には基本的には誰もが入るべきものとそうでないものがあります。


入るべき保険

車の任意保険

自賠責保険は強制加入ですが、補償範囲が以下となっています。詳しくは以下のリンクをご参照ください。

  • 自賠責保険の支払い最高額は、被害者1名につき死亡で3,000万円。
  • 人身傷害による損害の支払い最高額は、被害者1名につき120万円。
  • 対物補償はなし
  • 補償範囲は対人賠償に限られる。

参考: 自動車総合安全情報 自賠責保険について知ろう!

人身傷害の金額もこれだけでは済まない場合もあるでしょうし、対物補償がないのはあまりにも不安です。品川ナンバーのベンツに後ろから突っ込んだら一巻の終わりです。安いネット保険で十分なので、最低でも対人、対物補償は無制限でつけておきましょう。

家の火災保険

家を建てた、購入した、といった場合に必ず入るべき保険が火災保険です。火災保険の補償対象は建物や家財となり、火災の被害だけではなく落雷や台風などの自然災害、盗難被害などが補償対象となります。

日本では一戸建ては木造住宅が多く密集している地域もあり、火災が発生すると延焼による損害を受ける可能性もあります。新築した翌日に火事に巻き込まれてしまったら数千万円が失われてしまいます。必ず引渡し日に加入しておきましょう。


地震保険

地震保険はそれ単体で契約することはできず、必ず火災保険とセットで入る必要があります。火災保険では地震による火災は補償されません。また、地震による影響で家財が損傷してしまっても、地震保険に入っていない場合は補償されません。地震で家が損壊してしまった場合でも、住宅ローンの債務はそのまま残ります。

参考: 地震保険の必要性とは?入るべき人と入らない場合のリスクをFPが解説


地震保険自体は安くはありませんが「地震保険料控除」があるため、一定の金額の所得控除を受けることができます。

参考: 国税庁 No.1145 地震保険料控除

住宅ローンの団信(団体信用生命保険)

住宅ローンを返済中に死亡や高度障害など万が一のことがあった場合に、住宅ローンの借入残高をゼロにして、家族の住居を確保することができる保険です。家族がいて、家を購入したばかりなのに不慮の事故で突然死してしまうような場合に、残された家族が住宅ローンを払い続けていくことは、現実的には難しい場合が多いでしょう。団信に入っていないと、人だけでなく住まいまでも失ってしまうわけです。

住宅ローンの契約と同時に加入するケースがほとんどですが、団信にはいくつかタイプがあるので、自分に合うものを選ぶことが大切です。

参考: 団体信用生命保険

もちろん例外はあるでしょうが、これらは基本的には入っておいた方が良い保険だと言えます。


入らなくても良い保険

医療保険

医療保険は入院や治療による出費増や、収入減に備える合理的な手段ですが、医療保険は必ずしも必要ではありません。日本は公的な健康保険制度が充実しているからです。日本では、公的な健康保険への加入が義務付けられており、病院で治療を受けたときの費用は、入院や手術も含めて実際の費用の30%に抑えられます。また、ほとんどの治療に健康保険が適用されます。70~74歳は原則20%、75歳以上は原則10%です。

また、日本には高額療養費制度もあります。日本の公的な健康保険には、1か月の医療費が一定額を超えると、その分は健康保険が負担してくれる制度があります。これを高額療養費制度と呼びます。70歳未満で一般的な収入であれば概ね8万円+αくらいで済みます。仮に医療費が一ヶ月100万円かかったとすると自己負担額は30%の30万円ですが、8万円+αを超えた分の約21万円余りが高額療養費として健康保険から払い戻されます。

参考: 厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)

私の父は今76歳で、一昨年に癌を患い、それから定期的に検査と手術を繰り返していますが、長期で入院することもなく、この二つの制度のおかげで大金を支払う必要もなく、今も元気に長生きしています。

医療費の自己負担額の上限が8万円+αで済むのであれば、わざわざ民間の医療保険で備えなくても、その保険料分を貯金や投資に回した方が合理的だとも考えられます。

参考: まねもち お金について考える上で最も基本的で大事なもの... それは金利!


どうしても気になるなら、営利目的でない共済で掛け捨ての保険に加入しておけばそれで十分だと思います。

生命保険 (団信を除く)

もちろん、賃貸住まいで団信に加入しておらず子供がいて資産もないような場合は入っておいた方が無難だと思います。ただし、実は不要なのに加入していることが多いのも事実です。

まず、団体信用生命保険に加入している場合、補償内容が重複しがちです。どちらか一方で十分である場合が多いです。

また、独身で経済的に生活を支えている家族がいないとすれば、死亡保障自体が不要です。

さらに、勤めている会社によっては「団体保険」に加入している場合があり、死亡すると1000万円程度支払われるような場合もあります。

最近は貯蓄型保険など色々なタイプの保険があり複雑化しています。掛け捨てに比べて保険料が高かったり、途中で解約してしまうと戻ってくるお金が少なくなってしまったりします。


保険のメリットはなんといっても、資産形成に何十年もかかるような金額を、万が一に備えてすぐに用意できる点です。

ただし、20~30代の死亡原因一位は自殺、40代でも1位は癌ですが2位は自殺です。また、40代の死亡原因のうち、自殺を除く三大死亡原因は生活習慣病が原因で起こるとされています。逆に、生活習慣を整えて精神と肉体の健康を維持すれば、こういった原因で死亡してしまう確率も下げることができるという考え方もできます。

※私も母を癌で亡くしているので、癌の原因が生活習慣だと言われてしまうと本当にそうなのか?と疑問が湧きますが、定義としては生活習慣病の一つではあるそうです。ただし、原因は多岐にわたるそうです。

昨今は高齢化に伴う医療費の増大が深刻な社会問題となっており、「予防医療」についての議論も活発になってきています。個人的には、健康については定期的に健診を受け、日頃の食事や運動に気遣いながら生活し、過度に保険にお金を使うことなく、NISAやiDecoを賢く使いながらコツコツと資産形成していくのが王道だと思います。

参考: 厚生労働省 死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合


自分で勉強して考えよう、もしくは相談料を払ってFPに相談しよう

自分で勉強して考え、家族と話し合って決断するのが最善の道だと私は思います。収入や生活スタイルはどんどん変化していくものなので、定期的に見直す機会を設けることも重要です。

お金は本当に奥が深く、「XXの保険を契約しているからOK」「新NISAで投資しているからOK」というような単純な話ではありません。家族構成や資産や借金、生活習慣や趣味嗜好にまで話が及びますし、これは本当に多種多様で、全員に当てはまる最適解もありません。都心マンションが正解の家族もいれば、郊外戸建てが正解の家族もいるように、資産性が良ければそれでヨシという話でもありません。

迷った時に第三者からの客観的な指摘やアドバイスが必要になることもあると思います。そんな時に「無料でFPに相談」すると、そのFPは保険を売らないといけない立場である場合が多いので、本質的なアドバイスに至らず、保険を買って満足してしまうことになりかねません。

まずは、家族や友達にお金に詳しい人がいるなら、その人に相談してみるのが良いと思います。ただし、収入や生活費の話題はかなりデリケートな話題なので、家族や友達であるからこそ話しにくい部分もあると思います。

そんな時は、最初は抵抗があるかもしれませんが、できればお金を払って真の意味であなたの味方になってくれるFPに相談しましょう。今後の何百万、何千万のお金に関わってくることと考えると、今支払う数千円は安いもんだと思います。

くぎもと としみつ

釘本 寿光

ソフトウェアエンジニア / FP見習い

千葉大学大学院・情報科学専攻を修了後、大手IT企業にて決済、金融、行政、公共情報に関わる様々なソフトウェア開発に従事。 仕事やプライベートでのお金にまつわる様々な経験を通して得た知識を元にお金に苦労しない生活の手助けをしたいと思い立ち、 本メディアを含め様々なアプリを開発中。現在FP技能検定に向けて勉強中。二児の父。